【お客様インタビュー】中山間離島が実現する医療・福祉の「施設集約」。地域特性に寄り添い、実現を徹底サポート
担当コンサルタントが聞く
自治体でのコンサル活用のポイント
- 介護福祉施設
- 収益向上・経営改善
- 経営戦略・事業構想
- 1001人~
人口減少に直面する自治体が、コンサルと共に描いた最先端の施設集約モデル
島根県隠岐諸島に位置する西ノ島町は、人口減少や福祉施設の老朽化、介護人材の不足といった課題に直面していました。日本経営では2023年より、同町における持続可能な地域包括ケア体制の構築を目指し、医療・介護施設の機能再編に向けた基本構想・基本計画の策定を支援。おおむね20年後を見据えた施設整備・再構築の計画を共に推進してまいりました。本インタビューでは、プロジェクトを牽引された西ノ島町役場の堀江様に、当時の課題や支援の成果、コンサルを導入するメリットなどについて詳しくお話を伺いました。

自治体名:隠岐諸島 西ノ島町
所在地(都道府県):島根県
事業内容:地方自治体(行政サービス)
町の人口:2,428人
(令和8年(2026年)4月30日現在)
URL:https://www.town.nishinoshima.shimane.jp/
●課題
・福祉施設の老朽化、介護人材の不足、人口減少に伴う介護需要の減少に備えた持続可能な施設整備の実現
・複数の関係者間で円滑に合意形成を図るための客観的なデータや、合意に向けた進行ノウハウの不足
● 解決策(支援内容)
・医療・介護施設の機能再編に向けた基本構想および基本計画の策定を支援
・建築や人事の専門家を招集し施設の建築計画や介護人材の採用活動を幅広く支援
● 成果
・将来を見据えた「施設集約・再編」の基本計画が完成した
・客観的データの提示により、関係法人や組織との確実な合意形成を実現できた
コンサル導入の経緯と支援内容
前例のない自治体プロジェクトに挑戦。成功させるための「合意形成の材料」を求めて
日本経営 小森(以下、小森) :本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございます。はじめに、西ノ島町様が抱えていた介護福祉の課題についてお聞かせいただけますか。
西ノ島町役場 健康福祉課 堀江様(以下、堀江):町内の福祉施設の老朽化と介護人材の不足という問題に加え、離島という地域柄、人口減少とそれに伴う介護需要の縮小など、複数の課題を抱えていました。将来にわたり継続的に介護福祉サービスを提供するには、地域の実態に即した規模と機能に見直し、思い切った施設整備をする必要がありました。

小森:今回の基本構想・基本計画の策定を進めるにあたり、コンサルティングを導入されたのはなぜですか?
堀江:行政職員はどのような事業を動かすにしても、そのベースとなる「法的根拠」と「客観的な裏付け」が求められます。今回の計画は西ノ島町にとって前例のない取り組みですから、自分たちだけでその根拠を揃えることに限界を感じていました。たとえば、人口推計や将来的な介護需要、事業が持続可能であるかを見極めるための収益性といった部分です。組織や関係者と一緒になり、事業を前進させるための強力な「合意形成の材料」として、専門家の知見に期待したというのが大きな理由です。
日本経営さんを選んだのは、本計画作成前に基本構想からの流れもあります。基本構想の策定支援の際にプロポーザルを実施し、実績等も含め日本経営さんが選ばれました。基本計画の策定にあたり、引き続き日本経営さんなら安心してお任せできると判断し、ご依頼しました。
小森:ありがとうございます。2023年10月の基本構想策定からご支援を開始し、まずは住民アンケートによる地域ニーズの把握と現状分析、国の動向、将来的な介護需要の見極めを行いました。そのうえで、施設事業者の財源を確認しながら事業シミュレーションを重ね、基本構想・基本計画の策定を支援いたしました。実際にコンサルティングが始まってからの印象はいかがでしたか?
堀江:島根県内にある病院でのコンサルティングの実績や、「非常にきめ細かく、対応が良い」という評判を耳にしていましたが、実際に一緒に仕事をしてみると、的確なアドバイスはもちろん、レスポンスの早さに非常に助けられました。私は町長や各事業者との調整役を担っていたため、判断に迷う場面でロジカルな裏付けをもって並走してくださったおかげで、スピード感をもって進めることができました。
また、日本経営さんの横とのつながりの強さ、組織としての層の厚さにも救われました。プロジェクトの局面に応じて各方面のスペシャリストを招集いただき、多角的な視点からご意見をいただけたのは非常に参考になりましたし、安心感にもつながりました。建築士や採用の専門家の方などから得られた知見が、着地点を見出すうえでの大きな足掛かりになったと感じています。
コンサル活用の成果
地域特性を捉えた「施設集約」という選択。客観的データが合意形成を後押し
小森:日本経営としても、堀江様のご尽力なくしてプロジェクトは遂行できなかったと痛感しています。完成した基本計画のポイントを簡単に教えていただけますか。
堀江:基本計画の3つの柱は、①施設集約・再編、②持続可能性の確保、③安心・安全の向上です。「施設集約」では、病院、小規模多機能型居宅介護、生活支援ハウスを同じ敷地内に集約し、医療・介護・福祉の「多機能拠点」を形成する予定です。また、老朽化した特別養護老人ホームを養護老人ホームの1階に移転・統合し、「特養・養護老人ホーム拠点」として機能させます。いずれも、人口減少や介護需要の変化を予測し、機能を見直すことで、将来にわたり安定してサービスを提供できるように再編しました。
小森:施設集約のうち、特別養護老人ホームと養護老人ホームを1つの建物に集約する決断は、非常に大きなものだったと感じています。意思決定のプロセスや、法人様の反応はいかがでしたか?
堀江:人口減少に伴い介護需要も減少する中で、特養の建物を新しく建設するのは現実的ではないと考え、既存資源を活用した「施設集約」という形をとったわけですが、当初、法人サイドからは収益面などで不安の声もありました。
しかし、法人統合ではなく「特養・養護老人ホーム拠点」とする構想であることと、日本経営さんの精緻なシミュレーションが転換点となり、法人側も前向きに検討してくれるようになりました。集約後は定員縮小となるため、人員を社会福祉協議会へ送り出すといった提案が、法人側から自発的に生まれるまでになったのです。丁寧な協議の積み重ねによって、関係法人の意識が変わったことも大きな成果だと感じています。
また、これまで西ノ島町には高齢者住宅がなく、住み替えのニーズに応えられずにいました。今回、多機能拠点に生活支援ハウスを配置することで、町民の皆様が最期まで住み慣れた土地で暮らせる環境が整った点は、非常に良かったと感じています。
小森:医療・介護・福祉施設を集約した「多機能拠点」と、機能の異なる老人ホームを集約した「特養・養護老人ホーム拠点」の手法は、最先端の計画といっても過言ではありません。他の自治体様からも注目を集めています。
堀江:そうなんですか、ありがとうございます。このような基本計画を策定できたのは、日本経営さんや専門家チームのご支援があったからこそです。コンサルティングを活用せずに町だけで進めていたら、今もまだ計画は完成していなかったと思います。

自治体がコンサルティングを活用する最大のメリットは、経営分析や施設基準などの専門知識を持つプロが、客観的かつ中立な資料や助言を提示してくれる点にあると感じています。だからこそ合意形成ができ、決断に至ることができたのだと思います。
小森:基本構想はワーキングチームで意見を集約し、基本計画は策定委員会にて最終決定を下すという、合意形成のプロセス自体も二段構えで複雑なものでした。そうした中、事業者様と自治体様のつなぎ役としてお力添えできたことは、私たちとしても大変嬉しく思います。
また、このような難易度の高い施設整備を最後までやり抜いた堀江様のバイタリティにも感心するばかりで、“戦う離島行政職員”というのが率直な印象です。堀江様のエネルギーの源はなんでしょうか。
堀江:町の人たちと話す中で、「この島で生まれた人たちには、最期もこの島で迎えさせてあげたい」という強い想いを感じました。私は西ノ島町に来て10年ですが、この想いに強く共感しています。施設があることで高齢者の方々が救われるのであれば、やはりそうした場所はあるべきです。この気持ちが原動力になったのだと思います。
コンサル活用のポイント
「目的」と「ゴールの仮説」でコンサルの力を引き出す
小森:今後、コンサルティングの活用を検討されている他の自治体に向けて、上手く連携していくためのポイントや心構えがあればぜひ教えてください。
堀江:自治体として「目的」と「ある程度のゴール」を定めたうえで依頼することだと思います。「おそらくこういう着地になるのではないか」という仮説を持った状態で、その裏付けを得るためにコンサルタントさんの知見を借りる、というのが理想の形だと私は考えます。
この方向性まで丸投げしてしまうと、コンサルタント側もどう動けばいいのかわからず、最終的に実効性の乏しい計画書ができて終わる、ということになりかねません。委託者側が「こうなるのではないか」という予測をあらかじめ用意しておくことが、プロジェクトを成功させるコツではないでしょうか。
小森:そうですね。自治体様側でおおまかな方向性をご提示いただけると、私たちはその実現に向けた実効性の高い提案にリソースを集中させることができます。
最後に、私たちを他の自治体様にご紹介いただけるとしたら、どのような課題を抱える自治体におすすめされますか。
堀江:日本経営さんは西ノ島町の地域特性を理解し、それに応じた適切なご提案をしてくださいました。ですから、当町のように離島や中山間地域で人口減少が深刻な課題となっている自治体には、ぜひおすすめしたいです。
また、今回のプロジェクトの鍵である「施設集約」という点に着目した場合、合意形成の場面でも日本経営さんの客観的データが非常に役立ちました。そのため、複数の医療・福祉施設の統合を目指しながらも、その合意形成に苦戦されている自治体においても、日本経営さんの実力が最大限に発揮されるのではないかと感じています。
小森:ありがとうございます。基本計画の策定が完了し、私たちの支援はいったん一区切りとなりましたが、西ノ島町様ではこれから施設の建築や集約施設の改修などが本格化していきます。ぜひ、今後の歩みも見守ってまいりたい所存です。
堀江:そうですね。また大きな課題が生じたときには、あらためて契約を含めて検討したいと考えていますが、ちょっとした困りごとや、「少し意見を聞いてみたい」ときにも、変わらず相談に応じていただけると、私たちとしては非常に心強いです。
小森:もちろんです。いつでもお声がけください。西ノ島町と一体となって推進したこのプロジェクトは、日本経営にとっても新しい試みを含んだ貴重な体験となりました。再びお役に立てる場面がありましたら、その際はまた全力でサポートいたします。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
情勢や人口の変化に対応するためには、今ではなく数十年後の未来を見据えた対策が必要です。



